友人の建もの探訪
注文住宅を建てるにあたり、都内の先駆者達の家を訪問させてもらった。
訪れたのは4軒。
どういう考えで間取りを決めたのかとか、オプションをどうしたのかなどを聞こうと思ったのだが、話を聞いてみるとそんなミクロなことはさておき、もっとマクロな点で私と家づくりへの考え方に相違があり、非常に興味深かった。
ある人はリセールを考慮して新興住宅地の利便性の良い立地にマンションを買い、ある人はインスタなどで綿密に情報収集をして地元工務店でフルオーダーの家を建て、ある人は大手メーカーで広々とした流行の間取りを選び、ある人は太陽光発電と電気自動車をリンクさせたZEH住宅を構えていた。
「人は家に何を求めるのか?」というスタート地点が人それぞれ違っていた。
色々な考えがあって面白い。
私はデザインやオプションを好き勝手にやりたかったので、ローコストメーカーや工務店を中心に探している。
以下は備忘録。
①新興住宅地マンション
北側に広大なルーフバルコニーのある住居。ルーフバルコニーがあるだけあって日当たりは悪めだが、家主が本好きなため日当たりは悪くてもむしろ歓迎といったようなことを言っていたので、ルーフバルコニーという楽しいアイテムがついてくるだけお買い得だったのだろう。しかし、ルーフバルコニーには物置のような常設の物を設置できないらしく、案外自由にできないんだなと思った。
また、ルーフバルコニー以外にも普通のバルコニーがあり、幅も奥行きも広め。こちらのバルコニーだけでもプランターを置いたりテーブルを置いたりする使い方は十分できそうだった。
間取りは3LDKで、奥のLDKは居室との仕切りを動かせばつながるタイプ。内装はベージュ系の木でまとめられていた。
キッチンは対面式で、ダウンライトが6個くらいあり、手元は非常に明るかろうという感じ。
カーテンレールは天井に埋め込まれたタイプ。1月に来訪したが、少しカーテン下から冷気が来ており、新築でも窓際は寒いんだなぁと思った。
②地元工務店フルオーダー住宅
南側に大きな緑地のある分譲地に建つ木造2階建て。1階がLDK、2階が水回りと居室という間取り。1階には大きな吹き抜けがあり、南側の大きな窓からの日光が非常に気持ち良い。
外装、内装共にこだわりが見て取れ、配色を3つ程度に固定して統一感を出している。また、造作以外の家具がほとんどなく、ミニマリストなのかなという印象。
個人的には、ファミクロがあるとはいえ子供部屋が3畳しかないのは後々困るのではないか…と心配でならない。
施主ともたくさん話し、よかったことや後悔してることを色々聞くことができた。
【後悔ポイント】
・階段の幅や勾配をもう少し幅広、緩やかにしたかった(ここはかなり主観が入る部分。今まで住んだ家との比較になりがちで、身長や体格によっても感じ方が違う)
・階段の踏板と床の色が若干違った
・隣家から見える位置の窓は曇りガラスにすべきだった
・食洗機は事前の湯洗いの必要な国産メーカーにしなければよかった
・玄関のモルタルに割れは「味」だと思えると思っていたが、一年で結構な大きさの割れが入った
・キッチンの通路が広すぎたが、棚を全開きにしてもぶつからないので結果オーライと思うことにした
・自転車置き場のひさしを雨除けに使う設計だったが、ほぼ使えない
【こだわりポイント】
・窓枠を極限まで目立たせなくした
・2階に水回り、脱衣所に全員の下着収納、寝室近くにファミクロを配置し、洗濯が2階で完結する動線
・玄関→シューズクローゼット→上着置き場→造作洗面台で手洗い、という帰宅後動線
・リビング横の小上がりスペース
③大手メーカーの家
分譲地に立つ2階建て。バカデカくはないが邸宅感のあるエレガントな外構。玄関に入ると、玄関から二手に別れ、お客さんはリビングに直行、住民はシュークロからパントリー、キッチンへ抜けられる動線。リビングには大きな畳の小上がりスペースがある。2階は居室と水回りがあるが、この家で日当たりが最も良い場所に風呂が鎮座している。もちろん見えないようにフェンスはあるが、隣家から見えないかハラハラしそう。実は1階の庭に池があり、施主のこだわりが見て取れる。
小上がりにしろ風呂にしろ、一般的な間取りよりもひと部屋が大きく、住宅展示場に来たのかと思うようなサイズ感。実家のサイズ感に引きずられたのか、住宅展示場で夢を見てしまったのかはわからないが、都内の一般的なサイズに縮めればもうひと部屋とれたのではないかと思うほど。
住んでみた感想としては、建てた後にアウトドア趣味ができてしまい、土間のような収納が欲しかったとか、LDKの端っこに二階への階段があるせいで暖房効率が悪い、といった内容。
④鉄骨3階建てのZEH住宅
電気自動車がお出迎えしてくれる3階建ての住宅。外壁はタイルで高級感がある。60年メンテナンスフリーとのことで、イニシャルコストとランニングコストを天秤にかけた模様。
外のサイクルポートはしっかり家族全員の自転車が置けそうなサイズ。住宅メーカーではなく他の外構業者に依頼してコストを三分の一に落としたらしい。
中は延床面積で30坪ちょい。1階が水回りと書斎、2階がLDK、3階が居室という間取り。1階にサンルームがあるのが特徴的で、1階で風呂、洗濯、物干しが完結する。サンルームは便利そうだなと率直に感じた。書斎は2.5畳とあまり広くはないが、やはりアフターコロナの必須アイテム。なお、1階フロアの冷暖房は書斎のエアコンで頑張る仕様。
2階のLDKは南側にDK、北側にL(畳の小上がり付き)という配置なのが特徴的。広さは十分だが、キッチン、ダイニング、リビング、小上がりの4つの空間があるためか、それぞれが狭い印象を受けた。防犯対策のため、人が入れるサイズの窓を設置しない方針というのも興味深い。南側は縦長の窓を複数設けて採光をとっている。
太陽光パネルは3kWh程度で、家の電力を賄える量ではないものの、電気自動車から充放電できるので、災害時に強そうな仕組み。